ココロの好きが溢れたら

冷たい彼



「…り……ひまり」


んん〜…。


「陽毬、着いたよ。起きて」


お母、さん…?


名前を呼ばれて、ふわふわとしていた意識がゆっくりと浮上する。



「ん……着いた、の?」


「うん。車から降りて」


まだ開けきらない目蓋を擦りながら車から降りると、そこは一軒家が連なる住宅街だった。


え…?

どこ、ここ…。


見慣れない上に、てっきりご飯でも食べに行くのかなと勝手に思っていたから動揺が隠せない。


「陽毬、置いてくわよー」


お母さんがそう言って躊躇いなく家に入っていく。

お父さんはすでに家の中に入っているようだ。


ど、どういうこと?


両親が入っていった家は明らかに新築の一軒家。

青と白を基調とした爽やかなデザインの外観
に、家の前の花壇には植物が綺麗に植えられている。


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