ココロの好きが溢れたら
手を引かれて連れていかれたのは二階の最奥にある部屋だった。
「ここが寝室だからね」
目に飛び込んできたのは明らかに1人用ではないダブルベッド。
「本当はもう少し大きいクイーンサイズにしようと思ったんだけどね、美智子さんが夫婦になるんだからダブルくらいが丁度いいわよって」
待って。
今美智子さんって言った?
「ねぇ、ちゃんと説明してっ!この家はなに?美智子さんと何の関係があるの!?」
色々ありすぎて、もう頭がパンクしそうだよ!!
一体何が起きてるの!?
状況を整理しようと必死な私に対して、お母さんは飄々としている。
「何をそんなに興奮してるの?」とでも言いたげな表情だ。
そして次の瞬間、さも当然のように
「何って…陽毬とハルくんの家よ」
今、何て言ったの?
家……私とハルの家って言った…?
混乱して頭が真っ白な私に、いつの間にか側に来ていたらしいお父さんがトドメの一言を告げる。
「今日から同居することになったから」
あぁ…神様。
これは夢ですか?
お願いだから…。
「夢だと言って……」
あまりのことに、ついに頭がパンクしてしまったらしい。
私はその後、ロボットのようにプシューッと音を立てて床にへたり込んでしまったのでした……。