ココロの好きが溢れたら
「ハル、ご飯出来てるよ」
テーブルに朝食を並べていると、顔を洗って着替えを済ませたハルが戻ってきた。
紙コップにお茶を注いでいると、ハルが席につく様子がなくて不思議に思い見てみたら。
テーブルに並べられた食事を見たまま、またもやハルが驚いたように固まっている。
え!?
私やっぱり何かしたかな!?
「ハ、ハル…?」
どうも朝から様子がおかしいハルに遠慮気味に声をかけると、ハッとしたように元の無表情に戻って席についた。
「いただきます」
ハルが何事もなかったかのように割り箸を割って食べ始めたので、私もハルと向かい合って座り「いただきます」をして食べ始めた。
でも。
「………」
「………」
会話が一切ない。
聞こえてくるのは2人の箸を動かす音と、テレビのアナウンサーの声だけ。
いつもの私なら一人で勝手に話してるんだけど。
相手は好きな人で、しかも私を嫌っている人だ。
いくら私でも話しかける勇気もなければ、一人で盛り上がる勇気もない。
そんなシン…とした空気を壊したのは、意外にもハルだった。
「…なんで俺のはミニトマトがないんだ?」
食べ始めて数分。
いきなり飛んできたハルの質問にびっくりして、ポカンとしてしまった。