ココロの好きが溢れたら
そして。
「陽毬ーっ!美智子さんからハルくんの新しい写メ届いたわよー!!」
「うそーーっ!!どれどれどれ!!?」
家の玄関を開けた瞬間聞こえてきた母の声ひとつで機嫌が直る私って……超単純?
美智子さんは彼の母親。
一度だけ会ったことがあるけれど、とても綺麗な人だった。
彼の写真はいつも美智子さんから私のお母さんへ届くのだけれど、ここ最近毎日送ってくれるから嬉しい。
ドタドタと玄関からリビングへと繋がる廊下を走り、ソファに鞄を放り投げる。
物扱いが雑だって?
今だけは許して下さい!!
私は彼が原動力だと言っても過言ではないのよ!!彼は私のエネルギーなの!!
あ、キモいって言わないでね!
「お母さん見せてっ!早くっ」
「そんなに急がなくても大丈夫だってば。ほら、ハルくん」
母から受け取ったスマホの画面を見る。
そこには、眉間に皺を寄せながらトマトを食べる彼がいた。
「ハルだぁ……」
お母さんが昔から彼をハルくんと呼ぶから、私もハルと呼んでしまう癖がついてしまった。
会ってもない人にそんな呼び方されたら嫌かな?なんて思ったりもしたけど、癖になってしまったものは仕方ない。
そんな事より、今は彼の写真を見る事に集中しよう。
「お母さん、これ私の携帯に送ってもいい?」
「もちろん」
許可を貰って、お母さんの携帯を操作して私の携帯へ写真を送信。
へへっ。
また1枚増えたぞ〜!