ココロの好きが溢れたら
「ハル、あのね」
携帯をポケットに入れ戻した陽毬が、少し緊張気味に話す。
声が震えている。
さっきとは違う、無理して作った笑顔。
それを見ただけで分かってしまう。
陽毬がどれだけ勇気を振り絞って俺に話しかけているのかを。
「なに?」
だからだと思う。
自然と優しい声が出たのは。
そんな俺に陽毬は少し驚いていたけど、緊張が取れたのかゆっくりとしっかりした声で話を続けた。
「私、幼い時からずっとハルのことが大好きだったの」
いきなりの告白に、一瞬固まる。
いや、落ち着け。
告白なんてされ慣れてるだろ。
「毎日送られてくる写真が本当に楽しみで。友達に気持ち悪いって言われるくらい一日中ずっと写真を見てた。
そのおかげなのか、写真を見ただけで「今日のハル体調悪いのかな」とか「何かいいことあったのかな」とか少しの変化に気づくようになって」
あぁ…だからか。
だから、俺がトマトを嫌いなんだって分かったんだな。
そんな僅かな表情の変化がわかるくらい、本当に俺の写真をずっと見ていたんだろう。