初めて君に花を贈った日
Prolog
あの頃の僕には君だけだった。
それだけは確かなんだ。
ただあの頃の僕はどうしようもなく自分を卑下したくなる時期で、一方で君に酷く憧れた。
同時に見下しもしたんだ。
だけど、だけどね、
笑顔が零れる理由も、涙が流れる理由も、
全部が君だったあの頃が、今では堪らなく愛しいよ。
あれから何年も拗ねて、ようやくこうして、
僕は君を文章にしている。
美鈴、今日はね。
僕が君に初めて花を贈った日だ。