"死なないで"なんて、言わないで。
「少し走ろうかな。茅菜は?」
「私も走る」
「いこ!」
10分前の6時50分に抽選室に入ると大勢の記者達が集まっていた。
席にはもうコーチが座っており、緊張している様子だった。
「コーチ!かおこわいですよ」
「ん、そうか」
「緊張しているー、珍しいですね」
「逆に、緊張しないのか」
「はい。スケートは自分との戦いなんで」
「おー、いい言葉」
そうこうしている合間に抽選が始まり1日目のショートプログラムの順番が決まった。
叶逢は全体の中盤。
「最後?」
「良かったじゃん」