"死なないで"なんて、言わないで。
高貴は、茅菜程にはないが美少年だと評判になっている。
2限目からは、授業にしっかり参加した。
夕方になり校門前には多くの高級車が止まり始める。
漆黒に包まれており、光沢感が半端ない。
エリート校あるあるだ。
誰も歩いては帰らないため、たくさんの車が止まる。
「茅菜、明日ね」
「叶逢!歩いて帰るの?」
話しかけてくれたのは小さい頃からの幼なじみ、叶逢(トア)。
家はそこまでお金持ちではないが、叶逢はスケーターとして世界で活躍しているトップアスリートなのだ。
「うん。みんなみたいにお金持ちじゃないからね」
「じゃぁ、一緒に乗ってく?」
「いいの!」
「いいよ、おいで」
何台もの車の中から自分たちの車を見つけ乗り込むと居眠りをしている執事の轟(トドロキ)がいた。
小さい頃からの執事で、呑気で怖いもの知らずだ。
「こら」
ペシ、と頭を軽く叩くと肩を震わせ眠たそうな目をゆっくり開けた。