"死なないで"なんて、言わないで。

「そんなに怯えなくてもいいよ!」







「ちょっとついてきてくれる?」









「はい。」











連れていかれたのは、屋上だった。






ドアがゆっくり閉まり、その場の雰囲気が一気に変わるのがわかった。










「なんでしょうか?」









「あのさ……この男知り合いだよね」









うん。知ってる。







見せられた写真の中には、昔一緒に遊んでた男の子だ。







小学校低学年のとき、アメリカに引っ越してから1度もあっていない。











「知ってますけど……」









「こいつさ、俺のダチに怪我させたんだよね」







「はい」








「だからさ、治療費くれない?」








「いや、何で私が知り合いって知っているんですか?」







「そりゃー、インターネットで調べればいくらでも分かるだろ。今の時代は」








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