一生一緒
私は直ぐに紫色の頭をした少年を見つけた。





「智也。」





名前を呼べば3番隊の副長はニッコリと笑う。





「よ!美幸さん。」





「こんにちは。何してるの?」






訪ねると智也はオイルで汚れた手を見せてきた。





「バイクの改造っすよ!」





「……これ自分達で改造してるの?」





目の前には色とりどりでバラバラな大きさのバイクが並んでいる。






「そうっすよ!大体皆ここで意見を聞きながらいじってる感じっすね」





「へーー。……綺麗だね」





素直に言うとその場にいた何人かが照れたように笑った。





「あ!美幸さんはこの中でどれが一番格好いいっすか?」





思い付いたように智也が言う。





私は目の前にある8台のバイクを眺めて、一つの黒地に群青色の蝶が描かれたデザインのバイクを指差した。





「これ。」





「おぉー!良かったなー!雅!!」と智也





雅と呼ばれた小柄な茶髪の少年が顔を赤くしていた。





「あ、ありがとうございます、美幸さん」と照れながら言う雅





「凄くシンプルで格好いいと思う」





正直に言うと雅は嬉しそうに笑った。





「これ、総長のバイクを真似してるんです!だから嬉しいです!!」





「棗の?」





「あれ、美幸さんは総長のバイク見たことないんですか?」と智也





「うん。私棗のバイクすら乗ったことないから」





そう。棗が迎えにくる時はいつも車なのだ。





だから私は棗のバイクを乗るどころか、見たことすらなかったりする。





「そうなんすね!総長のバイクは俺らなんかのと比べられないくらい格好いいっすよ!」と嬉しそうに語り始める智也





ここの人たちは本当に棗の事を尊敬しているのだろう。




その想いが熱く、彼らが眩しく見えた。

< 103 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop