一生一緒
泣いている?私が?





そう言われて暴れるのを辞めた。





「……」





無意識に溢れている涙に気付かないくらい私は……






「言え。美幸。お前はどうしたいんだ?」






あぁそうか。





別荘から帰る日に感じたあの気持ちの正体は…………






抱きしめられたまま棗の服を掴む。






「…棗と……皆といたい……離れたくない………ずっとずっと皆と笑っていたい」






「俺は美幸が好きだ。だからこそお前を必ず守る。」








「……きっと私も……棗の事が…………好き…だと思う……………だけど私にはその資格がない!。」







「そんなこと俺が決める」







「彼が……一将が怪我をしたのは私のせい。……棗が守りたい仲間は私のせいで傷付いていく…!そんなの………耐えられない!」






そう言いながらなんとか棗から離れようとすれば、唇が何かに塞がれた。





それが棗の口でありキスをされていると言うことに気付いたときには棗の顔は離れていた。





「俺がお前も仲間も守ってみせる。」





コツンと額をくっつけ笑ってくる棗を見て私はなぜだか物凄く安心している。






「…棗。」






力強く言い放つ彼の背中に無意識に手を回す。




一度安心すると感情が溢れるように涙が止まらなかった。






「棗…」





私が名前を呼ぶ度に彼は愛おしそうに私の頭を撫でる。






「美幸」






ふと呼ばれ涙が溜まった瞳で彼を見上げるとまた塞がれる唇。




初めてのキスに私は耐えれるはずもなく、直ぐに息苦しくなり棗の胸を叩けば少し離れ、酸素を取り込むと直ぐに塞がれ。



先程までの涙は気付けば止まっていた。



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