一生一緒
1人の男を筆頭に次々と襲い掛かる男達。





数多くの鉄パイプや金属バットを軽くあしらいながら確実に急所を狙って蹴りや拳を決めている棗。





動きも最小限で相手の攻撃なんて一切当たっていない。





1人の拳を避けて別の人間の腹部に蹴りを入れよろけたその人間を振りかざされた鉄パイプや金属バットを防ぐ盾にしてそのまま投げ付ける。





狭い路地を利用した戦いだった。





避ける場所が失くなれば、遠心力を使って壁を駆け抜け敵の後ろに周り一撃で倒す。





棗の戦い方を初めて見た。





まるで舞でもしているかのような綺麗な動きに見とれていると私の視線を影が覆う。





二人の人間が私に襲い掛かってくるではないか。





「…邪魔」





身を屈めて相手の間合いに入り込み男の急所である股間を思いっきり蹴り上げる。





「てめぇ!」





もう1人が殴りかかってくればその手を引っ張り拳底を決める。





気絶した二人を睨んでいると





「…流石だな」





声をかけられそちらを見れば息1つ乱すことなく棗が立っていた。






「もう終わったの?」





「あぁ。問題ない。美幸は大丈夫か?」





余裕そうな顔から心配そうな顔に変わる。






私は残念で首を振った。





「せっかく棗の戦い方を見て覚えようと思ったのにコイツらのせいで途中から見逃した。」






そう言えばまたまた珍しく声を出して笑う棗。





「美幸は覚える必要ない。俺に守られてろ」





50人近くが倒れている中でキスする私たちであった。
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