一生一緒
お昼休みを知らせるチャイムが鳴ったと同時に私は立ち上がった。




「あ、美幸ちゃん。今日は……」




全く興味ない




と言う風にスタスタと歩きだし教室を出ようとした。そして私の日常は崩れてしまった…………。




トンっ




急に目の前に壁が出来たことに対応しきれずそのままぶつかってしまったが鈍い痛みではないことに気付き瞬時にそれが人であることを悟る。




教室内で今まで聞いたことがないくらいの女子の悲鳴が上がった。




私はよろめいたがサッと伸びてきた手を避けてバランスを整える。







「………大丈夫か?」






低い。それでいて良く通る透き通った声なのにどこか威圧感を感じずにはいられない。








「……」






視線を向ければそこには今までに会ったことがないくらい、そして今後いないのではないかというほどに恐ろしく整った顔をした男が立っていた。





思わず息を飲む。




身長が高い。




第一印象はそれだろうか。



私は160センチでそこまで低いとは思わない。



しかし男は180cmはあるだろうか。




「あ、棗~。来てくれたの~?」と斎




斎の言葉に返事はせずただ視線が食い入るように私に突き刺さる。




「……」




「……」







私はぶつかったことに対して少し頭を下げて後ろのドアから出ていこうとしたが




「……おい」




間違いなく私にかけられた声だろう。




ちらっと後ろを見ると透き通った漆黒の瞳が私の心の奥底まで見通すように見つめてくる。




なんの感情もない瞳でその漆黒を見つめ返し今度こそ振り返らず私は教室を出ていった。
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