一生一緒
アキラが微笑みながら私のところに来た。




「これ。美幸ちゃんにどうかなと思って昨日買ったんだ」




そう言って渡してきたのは汗を拭くシート。




「?」




あまり買い物にも行かない私は渡されたものを見て首をかしげた。




「使ったことない?これはね、汗をかいたときとか暑いときに使うと涼しくなるシートなんだ。」




そう言ってシートを一枚取り出して自分の腕を拭いて見せるアキラ。




私も同じようにシートを一枚取り出して自分の腕を拭いてみる。




するとそこにクーラーが当たったとたんいつもよりもかなり涼しくなり驚いて目を丸くした。




「ビックリした?」




笑いながら言うアキラに私は感動して何度も頷く。




「…これ、凄い」




珍しくテンションが上がった私を見てさらに嬉しそうに笑うアキラ。




「気に入ってくれたみたいで良かったよ。」




「ありがとう」




微笑むとアキラは驚いたように目を開いた。



「どういたしまして。ありがとう、笑ってくれて」




「?」




「初めてだよ?ここで笑ったの」




自分では全く気が付かなかった。




「やはり美幸さんは笑顔もキレイですよ。また笑ってください。」




嬉しそうに笑いながら言う無限に私は複雑な顔をして頷いた。




頑張っても表情を作ることが出来ない私の頭を無限が控えめに撫でた。




「無理をする必要はありません。ただ、ここを貴女が安心する空間にしてほしい。それは自然と表情が豊かになる事も含まれるんですよ。」




私はまた素直に頷いた。




「ねぇねぇ!トランプしようよー!」




斎と環が笑顔で来る。



私は少し軽くなった表情でテーブルの前に座った。
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