アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
第5話 今夜は初夜
結婚には、勢いが大切だって、本当らしい。

目の前には、折橋さんの名前と印鑑が押された婚姻届けが、広がっている。

「さあ、つむぎ。早く。」

昨日まで、つむぎさんと呼んでいた折橋さんは、人が変わったように、私を呼び捨てにしている。

一日で、こんなにも世界は変わるんだろうか。


「ああ。今日が休みで、本当によかったね。」

折橋さんは両手を広げながら、外の天気を伺っている。

あの~、お兄さん。

急に人の家に来て、それはないんじゃない?


「婚姻届けを出したら、直ぐに僕の部屋へ引っ越そう。楽しみだね、つむぎ。」

ワクワクしているのは、折橋さんだけですと言ったら、悲しい顔をされるかな。

昨日の夜、思い余って告白したのが運の尽き。

そのまま、奥さんになるねと言われ、頷いてしまったが為に、今に至る。


でも、折橋さんを好きな事に、嘘はない。

私は婚姻届けに、自分の名前と印鑑を押した。
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