アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「ありがとうございます!」

一人テンションの高い折橋さんを置いて、私はまだ他人事のように、思えてしまう。

それはただ、紙一枚に名前を書いただけだからかな。


「つむぎ。今から、折橋つむぎになったんだね。」

「はあ。」

他の場所を見たって、何も変わってはいない。

「まだ、実感が湧かない?」

「うん。」

わずか、10分足らずでリムジンに戻って来た私は、この間に名字が水久保から折橋に変わった。

って、言っても誰が信じるんだろう。

「まあ、女性はそうだよね。でも、直ぐに実感が湧くよ。」

「うん。」

さっきから私、うんしか言っていない。


折橋……五貴さんには悪いけれど、実感が湧くのは、大分先だと思う。

と、考えていた矢先だ。

リムジンは、五貴さんのマンションに着き、いつの間にか私の荷物も、まるで今まで住んでいたかのように、なじんでいた。

「ええ!?」
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