アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
バタンと戸が閉まり、五貴さんは仕事に行ってしまった。

大体、同じ会社の同じフロアで働いているのに、どうして一緒に出勤しないんだろうって、思ってしまう。

「私だけ私だけって言っておきながら、そこが足りないんだよね。」

月曜日の朝からため息をついて、私はスーツに身を包み、会社へ出勤した。


エレベーターで最上階へ行くと、そこに見慣れる人影が。

「あの……お客様ですか?」

振り返った人に、私は見覚えがあった。

でも、どこで会ったのか、分からない。

こういう時、内本さんだったら、スパッと顔と名前が出てくるんだろうなぁ。

「ああ、気にしないで。俺、ここの社長の友人だから。」

友人?

五貴さんの?

私は、その一言でこの人を思い出した。


「あっ、パーティーにいた人。」

失礼ながらも、指をさしてしまった私に、その人は笑顔で答えてくれた。

「そう言う君は、パーティーで五貴の隣にいたような。」
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