アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「それを直しながら仕上げるのが、あなたの仕事でしょ。」

高いヒールを履いている内本さんは、楽に私を見降ろしてくる。

「はい……」

これには、逆らえない。

と言うか、逆らわない方がいい。


「もしかして、社長の奥さんだからって、少しの間違いは許されると思っているの?」

「そんな事!」

ありませんって言いかけて、ちょっと詰まってしまった。

その気持ち、全くなかったと言えば、嘘になる。

「残念でした。今のところ、あなたが社長夫人だって事、この会社で知ってるのは、私だけなんでしょう?」

「まあ、そうですけど……」

「だったら、遠慮はしないわ。まあ、自分の身分を明かしたところで、誰も信じてはくれないでしょうけどね。」

一つ一つの言葉が、私の胸に刺さる。

いくら五貴さんの元カノで、私に嫉妬しているからって、これは酷すぎる!


「何か、言いたい事は?」

「お手柔らかに。」
< 162 / 255 >

この作品をシェア

pagetop