アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「はあ?」

「あっ、いえ。ご指導、宜しくお願いします。」

内本さんに頭を下げて、ふと思った。


そうだよね。

私、社長夫人だよね。

五貴さんが雇い主なら、私が雇ってるのと変わらなくない?

何で私が、この人に頭を下げてるの?


「分かったら、会議室の準備。お願いできる?」

「はい。行って来ます。」

気を遣いながら、一旦社長室を退場。

ドアをそっと閉める。


「くわあああああ!」

あの女ああああ!

いつか、ギャフンと言わせてやりたい。

私は声を出さずに、天井に向かって叫んだ。


その時だ。

「はははっ!」

廊下から笑い声が聞こえた。

「何、玲亜ちゃんにいじめられた?」

「益城さん。」

社長室から姿を消したから、てっきり帰ったと思ったのに。

ハッ!

社長夫人たる者、旦那様の友人が帰るのであれば、見送らなければ。


「あの……益城さんは、今、お帰りですか?」
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