アラフォー×バツ１×IT社長と週末婚

想像もしたくないのに、奥さんと子供に囲まれて、幸せそうな笑顔の五貴さんが頭に思い浮かぶ。

「ただねぇ。順風満帆にいかないのが、世の中ってものだよな。」

「えっ？」

私は、益城さんと顔を合わせた。

ニヤッとする益城さんを見て、、私の胸に不安が襲う。


「空君が４歳の時かな。風邪をこじらせてね、入院したんだ。」

「それが、どうかしたんですか？」

「ああ、そうだよ。ただの風邪。数日で空君は、退院するはずだった。」

もったいぶった言い方に、嫌な予感がした。

「入院したばかりの時かな。若い看護師がね。幼い空君の痰を取ろうとして、吸引したんだ。でもまだ新人だったのかな。吸引の力が強すぎたのか、空君はアッと言う間に、体をばたつかせて最後、自発呼吸ができなくなってしまった。」

「それって……」

「そう、医療事故。空君は一生、人工呼吸器をつけた植物人間になってしまった。」