アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
そんな五貴さんを見るのも、平日の朝に、彼がいてくれるからだ。

私は、そんな幸せな時間を、コーヒーを飲みながら、噛みしめた。

「あっ、つむぎ!会社に遅れる!」

「いけない!」

二人でスーツの上着を着て、外に出るのも、なんだか新鮮だ。


「お二人揃っての出勤とは、珍しいですね。」

運転手の林さんも、驚いている。

「これからは、もっとそう言う機会が増えるよ。」

五貴さんはそう言うと、林さんに気づかれないように、私の手の上に大きなその手を乗せてくれた。

ドキドキする。

新婚と言うよりは、恋人同士みたい。


「着きました。」

林さんはわざと、リムジンを会社から遠い場所に停めた。

「いくらご夫婦でも、公に正面玄関につけるのは、どうかと思いまして。」

「ナイス、林!」

私と五貴さんはリムジンを出ると、別々に会社に出勤する事にした。


「働いているのも、同じフロアなのに。」
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