アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
昼食の時間。

私は思い切って、五貴さんの仕事が終わる時間まで、待ってみる事にした。

「内本君。この資料、クライアントに送ってくれ。」

「畏まりました。」

二人で忙しく動いている中で、なんだか声も掛けづらい。


「どうした?つむぎ。」

書類にサインを書きながら、五貴さんは私に話しかけてくれた。

「ああ、あの……お昼ご飯、一緒に食べようと思って。」

「そうか。もう、そんな時間か。」

五貴さんは、腕時計に視線を投げた。

「ごめん、つむぎ。俺、もう少し仕事片付けてからにする。」

「うん……分かった。」

作戦は、失敗。

仕事なら、仕方ないか。

私はなるべく、気にしないようにして、社長室を出た。


五貴さん、今日は空君の病室に泊まらなきゃいけないから、余計な気づかいはさせないようにしなきゃ。

そして私は、最上階まで来たエレベーターの扉の前に立った。
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