アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
静かに開いた扉の向こうには、驚く事に益城さんがいた。

「益城さん!」

「おっ!つむぎちゃんだ。」

益城さんは、声は明るかったけれど、表情が硬かった。


「五貴、いる?」

「はい。でも、今は忙しいみたいです。」

「ふーん。お昼に誘おうと思って来たんだけど、無理か。」

そうして益城さんも、私と同じエレベーターに乗った。


しばらくは、二人とも無言が続いた。

そんなに仲も良くないから、この重い空気がなんとも言えず辛い。

益城さんは、ビルの真ん中を過ぎても、誰一人乗って来ないエレベーターがつまらなくなったのか、右足を前に出して、態勢を変えた。


「なあ、つむぎちゃん。」

「はい?」

私が益城さんの方を見ると、冷たい視線を感じた。

「五貴をどうやって、説得したの?」

「説得……何をですか?」

「とぼけるなよ。五貴、一日置きに家に帰る事になったって言うじゃないか。」
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