アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
私は、血の気が引いた。

「床に落ちてないの?」

「さっき見たんですが、紙一枚、落ちていないくて。」

私と内本さんは、もう一度デスクの下を、かがんで見た。

「本当だわ。」

内本さんは、手を振り払うと、資料の束を一枚一枚確認するようにめくった。


「他の資料の中に紛れ込んでいないかと思ったけれど、ないわ。」

デスクの上に資料を置いた内本さんは、顔を両手で覆った。

「どうしよう。」

本気で困っている内本さんを見るのは、初めてだった。


私こそ、どうしよう。

こんなに内本さんを困らせて。

それよりも、五貴さんの書類、どうすればいいんだろう。


「……社長に正直に言って、もう一度作って貰うしかないわね。」

私の背中が、ゾクッとした。

「私は、社長室の中を探してみるわ。あなたは、社長にもう一度資料を作って貰うように、お願いして。」

「で、でもっ!」

上手くいくんだろうか。
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