アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
会議まで、あと1時間切ってるのに!

「もしかしたら、奥さんのあなたが言えば、やってくれるかもしれないでしょ!」

「は、はい!」

「頑張って!」

内本さんに励まされ、私は給湯室にいる、五貴さんの元へそっと近づいた。

事情を知らない五貴さんは、のん気に歯を磨いている。

会議の前には、必ず気分転換だって言って、やっているのだ。


「あの……五貴さん。」

一旦、口の中のモノを吐き出した五貴さんは、キョトンとこっちを見ている。

「どうしたの?つむぎ。」

その優しさが、私の体を震えあがらせる。

「さっき貰った、会議の資料なんだけど……」

「うん。」


ああ、この空気が嵐の前の静けさに感じられて、仕方がない。


「ごめんなさい!トイレに行っている間に、無くしてしまったみたいで!」

私は額が、膝に付く程に体を曲げて謝った。

「はあ?」

案の定、五貴さんからは、今まで聞いた事のないようなテンションの答えが。
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