アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
そう。

五貴さんは、資料を無くした時も、優しかった。

焦って、そのイライラを私にぶつけていたけれど、もっと私を責めたっていいはず。

「ううぅっ……」

「つむぎちゃん?」

側にいた益城さんが、私の背中を摩ってくれた。

「泣く事ないよ。俺だったら……」

顔を近づけてくる益城さんを、両手で追いやった。

「ちょっと、つむぎちゃん!」

「慰めは、結構です!」

私は、エレベーターを降りると、1階から順番に、30分遅れで会議が始まる事を伝えて回った。


「あっ、そう。30分ね。」

「ええ?30分も遅れるの?参ったな。」

「はいはい、30分ね。」

部長達の反応は、様々だったけれど、なんとか全員に伝える事ができた。

最上階に着いた時、内本さんが一枚の紙を持って、走ってきた。

「社長の資料、出来上がっているわよ。」

「はい!」

私はその資料を受け取ると、急いで読み込んだ。
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