アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「あの……折橋さんのオフィスに行って、私……」

「しっ!」

折橋さんは、私の唇に人差し指を当てた。


私の唇に、折橋さんの指が触れている。

ほんの一部分なのに、好きな人に触れられているって、何て幸せなんだろう。


「つむぎさん?」

いつもは、こんな”好きでたまらない”って顔見られたら、恥ずかしくて下を向くのに、この時だけはできなかった。

私の唇から、折橋さんの指が離れて、顎に添えられる。

折橋さんの顔って、よく見ると整っているなぁ。

きっと折橋さんのお母さん、綺麗な人なんだろうなぁ。

そんな事を思っていると、どんどん私の顔に、折橋さんの顔が近づいてくる。


そして、この瞳。

なんて、綺麗なんだろう。

折橋さんの瞳に吸い込まれるように、私達は唇を合わせた。


動かすでもなく、舌を入れる訳でもない、ただ唇が合わさっただけのキスなのに、ずっと離れられなかった。
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