アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「明日から、ここの秘書か。」

人生、どうなるか、分からないものだと思った。

エレベーターの中に乗り込んで、”閉まる”のボタンを押した時だ。


「待って。」

折橋さんが、走りながらエレベーターに乗ってきた。

「お、折橋さん。」

「外まで送るから。」

エレベーターのドアが閉まって、中には二人きり。

途端に、さっきのキスの事、思い出してしまった。


「あのさ。」

「は、はいっ!」

意識しないようにしているのに、意識してる事、バレバレ。

「今更なんだけど、あんな仕事でよかった?」

「あんな仕事?」

私は折橋さんの方を向いた。

「秘書って言えばカッコイイけれど、実を言えば僕の雑務を請け負う何でも屋だからね。地味なのに、忙しいし。」

私は、何度か頷いた。

「それでも、給料は十分に与えるつもりだし、内本君と協力してくれれば、残業もなくなるだろうし。僕が今与えられるのは、これぐらいしかない。」
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