アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
仕事が終わって、私は会社のビルを出た。

ー 本当に、この仕事をする覚悟が、おありなんですか -


私は、ため息をついた。

会社を出てから、これで5回目。

いくら紹介された仕事とは言え、相手にそんな事を言われるなんて。

教えて貰っている人に対して、失礼だ。


「明日はもっと、頑張らなきゃ。」

自分で自分を励まし、いざ地下鉄の駅に、向かおうとした時だ。

あのリムジンが、私の横に停まった。

スーッと窓が開いて、顔を出したのは誰でもない、社長だった。


「送るよ。乗って。」

彼氏みたいに、フランクな言い方。

「さあ、遠慮せずに。」

開かれたドアの向こう側が、やけに違う世界に見えた。

「どうぞ。」

林さんにも促され、私はその異世界に、足を踏み入れた。


「今日一日、どうだった?」

社長に聞かれているんだから、何か答えなきゃ。

そう思う度に、口を開けては閉じ、開けては閉じた。
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