アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「内本君は、ハイペースだっただろう。」

折橋さんは、優しい口調で話し始めた。

「仕事はできるんだが、自分のペースで仕事を進める癖があってね。新人の子は、付いていけなくて皆、辞めてしまうんだ。」

私に気を遣っているのが、よくわかった。

「でも、この仕事には誇りを持っているんだ。それだけは、分かってあげてくれ。」


そう。

誇りを持っているからこそ、この仕事が決して派手ではなくて、地味な仕事の積み重ねだって事が、一番分かっている人。

私はそれに、追い付かなきゃいけないんだ。


「そうだ。今日、時間ある?」

「えっ?」

涙が出そうになるのを、押し殺して顔を上げた。

「いい場所に、連れて行ってあげるよ。その前に、ちょっと準備。」


リムジンは、高級な洋服店に着いた。

林さんがドアを開けると、私と折橋さんは、その店へと入って行く。

「何するんですか?」

「シンデレラの、ドレスを買うのさ。」
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