アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
「だって、パーティーって仕事関係の人が、来るんじゃないですか?だったら秘書の仕事ですし、社長にドレスを用意して貰うなんて、社員として有り得ないじゃないですか。」

確かに今の私には、こんな高級なドレス、買うお金はないけれど、仕事で着る服は、自分で用意したい。

「パーティーは、仕事関係じゃない。知人同士のフランクな物だよ。」

折橋さんの言葉に、言葉が詰まる。

いくら知人同士って言ったって、こんなスーツ姿じゃ一緒にいけないか。

「深く考えないで欲しいんだ。それをつむぎさんが着てくれたら、僕が喜ぶだけだから。」

「えっ……」

「ね。」

折橋さんに念を押され、私はもう一度、試着室のカーテンを閉じた。

スーツを脱ぎ棄てて、青いドレスに着替えた私は、自分ではないように見えた。


「どう?」

折橋さんに声を掛けられ、カーテンを開いた。

その瞬間、折橋さんの目が丸く見開いて行くのを、私は見逃さなかった。
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