君にベレー帽は似合わない
深夜0時30分。
突然着信音が鳴り響いた。

「…もしもし、メグちゃん?」
『夜分遅くにすみません。ハルさんですか?』
「え、どちら様ですか?」
『私、愛(めぐみ)さんの同僚でして…』
「メグちゃんは…?」
『眠ってしまって…迎えに来ていただきたくてご連絡しました』
「なるほど。今すぐ行きます」

……何が、“なるほど”だよ。
納得なんて1ミリもしてないわ!

自分でつっこんで何やってるんだろう、ボク。
深夜テンションってやつ…?


「あとはよろしくお願いします」
「はい。ありがとうございました」

メグちゃんの仕事の人たちと別れ、メグちゃんを乗せて車を走らせた。

「…ハルくん?」
「なんだよ」
「怒ってる?」
「別に」
「だって、男の子みたいになってる」
「……ボクは男ですけど?」
「そうだっけ? いつも可愛いから、女の子だと思ってたー」

酔いすぎ……

「愛」
「なにー?」
「ボクのこと好き?」
「うん! だーいすきっ!」

まあ、こういう時くらいしか好きって口にしてくれないから、ボクにとってはご褒美の時間なんだけどね。
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