君にベレー帽は似合わない
愛side
朝起きると彼の姿がなかった。
あんなに楽しみにしてたのに、一体どこへ…?
あれ? 昨日はこんな紙なかったけど……
テーブルの上にある紙にはハルくんの字で、私宛にメッセージが書かれていた。
『メグちゃん、おはよう。ごめんなさい。
急に仕事が入って、デートに行けなくなっちゃった。本当にごめん! また今度行こうね?
ハルカ』
仕事ならしょうがない。
でも…新しいワンピース、見て欲しかったな。
また今度、っていつだろう。
私とハルくんはなかなか予定が合わないから、難しいかもしれない。
まあ、帰ってきたらハルくんに見せればいい、か……ううん。やっぱり、新しい服を着てハルくんとお出かけしたい。
私の、ワガママ……?
こんなこと、言ってられないよね。
デートを忘れるために、家のことを片付けた。
一息ついてコーヒーでも飲もうかとキッチンへ向かうと、カウンターの上に置きっぱなしにしていたスマホがメッセージの受信を知らせていた。
『メグちゃん、少し早く終わりそう。13時に青葉公園の噴水のところにいて?』
え、デートできるの?
『うん、わかった』
ハルくんからすぐに、イルカのスタンプが送られてきた。
急いで準備しないと!
新しい服とメイク、どんな反応するかな?
想像して思わず笑みがこぼれる。
早く、ハルくんに会いたいな。