ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
『サクサクパイとの相性も、すばらしい。生地のバターの風味が、スープの味わいを濃厚なものにしてくれる!』

それからリュカオンは、尻尾を振りながら無言でスープを飲みきった。

『ふう。もう、勝敗は決まったぞ』

リュカオンはエレクトラと私を交互に見る。口の端を僅かに上げながら、勝利した方のスープの名を口にした。

『勝者のスープは、パイ包みスープだ!』

エレクトラは膝から頽れる。それを、慌てた様子で侍女が支えていた。

私のスープが、ハルピュイア公爵家の料理人に勝ったのだ。嬉しくて、その場で飛び跳ねてしまう。

「やったー!」

『やはり、お主のスープだったか』

「ええ!」

『おいしかった』

「そう言ってくれたら、頑張って作った甲斐があったわ」
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