ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました
第二話 勝負の『ウサギの絶品サクサクスープパイ』
ぷにぷに、ぷにぷにと、手触りのよい何かで頰を突かれ、声をかけられる。

『おい、ポンコツ王子のメシウマ嫁よ。我のごはんを作ってくれ。腹が減ったぞ』

「ううん」

幼い子どものような声が聞こえ、身じろぐ。

『おい、ポンコツ王子は、朝食も食べずに研究室にこもったぞ?』

ぐっと、強めに頰を突かれる。

『いいのか、メシウマ嫁!?』

「よ、よくな~い!!」

目をカッと見開き、一気に起き上がる。

『おお、起きたか。ポンコツ王子の嫁よ』

「嫁じゃないから!!」

『まだ、婚約中だったな。すまぬ』

「そういう問題でもなく!」

可愛らしく小首を傾げるのは、モコモコふわふわの白い毛並みを持つ犬――ではなく、国を厄災から守護するオオカミの姿をした聖獣リュカオンだ。

昨日、守護の力を使ったので、子犬の姿に戻っている。
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