桜色の恋。
彼の名前は氷見 陽太。
私のクラスメイトで、いつも1人で本を読んでいるようなタイプ。

話してみたいけど…話せない。
でもそれは、普段のことだ。

今なら、話せる気がする。

そんなことを思っていると、私の視線に気づいたのか氷見くんが私の方を見る。
私の姿を確認した瞬間、氷見くんは向こうを向いて歩きだしてしまった。

…せっかくの…チャンスなのに…無駄にできるわけないじゃない!!

「氷見くん!!」
「…何?」
「えっと…その…桜、好き?」
「それは、花のってことでいいんだよね?好きだよ。」
「どういうこと?」
「…あんたの名前、立川 桜でしょ。だから、一人称が名前じゃないよね?って確認。」
「ああ、そういうこと。いいよね、桜。1番好きだな。」
「名前だからってこと?」
「ううん、そうじゃなくて。優しい感じで…春の陽を浴びるどころか吸い込んでるって感じがして!」
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