桜色の恋。
私が見惚れていると、氷見くんが言った。

「…立川と最初に話した日も、こんな感じだったな。」
「そうだったっけ。」

本当は今でも鮮明に思い出せる。
氷見くんを好きになっ瞬間も、氷見くんと目があった瞬間も、全部。

「お前…」
「嘘よ。ちゃんと覚えてるから。」
「…桜…」

私は思わず氷見くんを見る。

「…いっぱい落ちてくるな。」
「……そうね。」
「あ、名前呼ばれたと思った?」
「うるさい。まあ…ちょっとだけね。一瞬だけ!」
「立川は俺に名前で呼んでほしい?」

呼んで欲しくないって言ったら嘘になる。
でも、流石にそれをいうのは…

「氷見くんに呼ばれるほどのものじゃないので遠慮しときます。」
「…素直に呼んでって言ったら呼んであげないこともないけど?」
「じゃあ呼ばないで♡」
「…へーえ、それでいいんだー こんなチャンス、2度とないかもしれないのになー」
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