人生の待ち時間
マリコってば、ちょっと意地悪!
入社して半年が過ぎた頃には、私はマリコがいなくても営業部関係の飲み会に一人で参加できるようになっていた。
──入社して二度目の春を迎えた。
晴天と高温が二~三日続き、桜があっという間に満開になった。翌日の風雨の予報に、営業部が急遽、会社近くの公園で花見をする事となった。
営業部主催といっても、いつも以上に有志の集まりに近い感じになるのだろう。
歓送迎会と重なるこの時期に、それでも飲む機会は外さない。「さすが、営業部!」と言ってもいいのだろうか……
定時で仕事があがれた私も、ドリンクやつまみの買い出しを手伝った。
マリコは体調不良で不参加だ。「始まってしまった。痛み止め、持ってる?」と、昼休憩に青白い顔で訊かれた。
平日木曜日だというのに、桜が名所の公園は花見を楽しむ人たちでにぎやかだった。
満開の桜の下に敷かれたブルーシートの上に、二十人程が集まった。
営業部長の乾杯の音頭で、花見が始まった。
突然決まったので、私は飲み会に参加する準備を何もしていなかった。
ほとんど女子社員がそうであるように、私服でなく制服で通勤していて、着替えも持ってきていなかった。
ブラウスにタイトスカート、ベスト、その上にカーディガン、さらにその上に薄手のスプリングコートという格好で花見に来た。