極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
もしや、星野家の権力を使ったのかなあ……とも思ったけど、追及しないことにした。
「こんにちはー。バーベキューの材料と炭をお持ちしましたー」
テントの外から、元気な声がして振り向くと、まるでクマみたいな大きな体のおじさんが、台車を引いてニコニコしていた。
「わーい、バーベキューだ!」
学生の頃は、よく友達と楽しんだものだ。
それぞれ別の企業に就職してから疎遠になり、最近ではほとんどやっていない。
テントの横には、屋根付きのウッドデッキ。中央にバーベキューコンロとテーブルセットが設置されている。
急いで出かける準備をし、間食もしないでここまで来たので、お腹はペコペコだ。
「火を起こしていきましょうか?」
「大丈夫です! 私、できるんで!」
自分でやらなきゃ楽しくないでしょ。
腕まくりをし、てきぱき火起こし器やら炭やらを設置していく私を見て、クマおじさんは笑った。
「こりゃあ頼もしい奥さんだ。いいお母さんになりますね」
「ええ、自慢の妻です」
裕ちゃんの答えに、何も飲んでないのにむせそうになった。