極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~

 悪いことしちゃったなあ……。

 反省して、乾拭きモップに変更した。

「私、副社長にお茶を出してきます」

 別の秘書が立ち上がる。

「あ、それなら私が……」

「いえ、火傷でもされたら大変ですから。どうぞおかけになっていてください」

 座ってろってか。まるで接待されているみたい。

 秘書たちはそれぞれ電話を取り、受話器を顎と肩ではさみつつ、パソコンの画面を操作している。

 かっこいいなあ。こんなに美しくてかっこいい人たちが、裕ちゃんの脇を固めているんだ……。

 珍しく三人が電話応対中、お茶を出しに行っている秘書の電話が鳴った。

「あ……」

 コール三回まで待って、とりあえず用件だけ聞こうと、受話器に手を伸ばした。そのとき。

「とってどうするの!」

 受話器を置いたばかりの長瀬さんに、手を払われ、受話器を奪われた。

 慣れた応対をする長瀬さんを呆然と見る。

 やがて受話器を置いた長瀬さんが、こっちを振り向いた。

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