極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
「おにーさん、俺の彼女に何か用?」
驚いて、声を失った。
私の前にいたのは、愛しの旦那様……ではなく、その弟。健ちゃんだった。
相変わらずお金はかかっていそうだけど、ラフな格好をした健ちゃん。
サラリーマンは何か言いたげな顔をしたけど、裕ちゃんに負けず劣らず長身の健ちゃんを見上げ、もう一度舌打ちをし、去っていった。
「なによ、謝りもしないでっ」
「どうどう希樹ちゃん。バカは相手にしないのが一番。どうせ話は通じやしないよ」
健ちゃんに止められ、深追いするのはやめた。
「どうして健ちゃん、こんなところに?」
「ん? うん……希樹ちゃんに会いたかったから」
だから、家に向かっていたところだったのか。
ちょっと前だったら、ただ迷惑なだけだったけど、今日は許してあげよう。
っていうか、助けてもらったんだから、感謝するべきだ。
「ちょうどよかった」
「へ?」
「お茶しに行こう、健ちゃん」
私は健ちゃんの腕をつかみ、引っ張った。
そのまま、気になっていた駅の近くのカフェに直行する。
「どうしたの、希樹ちゃん」
「今ね、すっごく甘い物食べたいの。でね、ちょっと話を聞いてほしいの」