極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
身を乗り出した私を、健ちゃんは真っ直ぐに見返す。その視線に嘘の匂いは感じられない。
「まだ。もう少しだと思う。意外と近くにいそうだけどね」
「えっ、そうなの?」
家出するなら、思いきり遠くに行きそうなイメージがある。
驚いた私に、健ちゃんは腕組みをして言った。
「それより俺が疑問なのはさ」
「うん?」
「俺がネットで雇った微妙な探偵に羅良ちゃんが見つけられて、兄貴の雇った有名探偵が見つけられないのはなぜだろう?」
私はまた、返答に困る。
「それは……健ちゃんの探偵が実は超優秀で……」
「俺は違うと思うな」
珍しくハッキリと、健ちゃんは言った。
じゃあ、どうして? 父が雇った探偵も、羅良を見つけられずにいる。何か関係があるのか。
「その辺りも調べさせてみる。今日のことは、兄貴には内緒ね」
「う、うん」
今後の情報交換のために、とお互いのスマホの番号を教え合い、私たちは別れた。
店を出る前、残っていたパンケーキを健ちゃんと分けて食べた。
家に着いてもまだお腹は満腹、というか胸やけしていて、夕食を作る気力はすっかり失せていた。