極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~

「ほら、水置いておくから」

 裕ちゃんは私の頭に冷却シートを貼り、枕元に水のペットボトルを置いて出ていこうとする。

「ゆうちゃん……」

 布団の隙間から腕を出すと、裕ちゃんはその手にペットボトルを握らせる。

「無防備すぎるんだよ。襲ってもいいのか?」

「え」

「そんな姿を見せられて、我慢の限界だ」

 裕ちゃんはおもむろに顔を近づけ、抵抗できない私の唇に、軽くキスをした。

「はあ……しかしこんなゆで過ぎたブロッコリー状態のお前を抱いても、意味がないな。ゆっくり休めよ。じゃあな」

 裕ちゃんの背中を見送ったあと、体を起こし、水を飲んだ。

 ちょっと待ってよ。今、何が起きたの。水を飲んで冷静になろう、冷静に……。

 ぐびぐびと水を飲んだけど、冷静にはなれなかった。

 脱水状態からは抜け出したけど、クラクラする頭は元に戻らない。

 ペットボトルのキャップを閉め、ベッドに倒れ込んだ。

 まぶたを閉じると、すぐに眠りの中に落ちていってしまった。

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