極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
こんなにあっさり見つかるなんて。
いつもふざけている健ちゃんも、神妙な顔をしている。
「どうする? 希樹ちゃん」
「どうするって……」
聞かれて、ますます混乱する。
裕ちゃんや実家のためには、ひっぱたいてでも目を覚まさせて、帰ってきてもらう方がいいだろう。
でも、羅良は自由が欲しかったと言った。
好きな人と引き離して、したくもない結婚をさせて、それで羅良は幸せになれるのかな。
「どうしたらいいか、わからないよ。裕ちゃんにも羅良にも幸せになってほしいだけなのに……」
子供の頃から大好きだった二人が結婚することになって、複雑な思いもあったけど、嬉しかった。
二人の幸せを、ずっと見ていたかった。
「俺はとにかく、当人どうしで話をさせるべきだと思うんだ。羅良ちゃんがやっているのは、ただの逃げ。このままじゃみんな中途半端だ」
意外にまともなことを言う健ちゃん。
「これ、羅良ちゃんの住所。兄貴に渡して」
健ちゃんは写真の上に、大きな付箋を貼った。
「ありがとう」
写真と住所の付箋を、大事に手帳に挟んだ。
重苦しい雰囲気の中、健ちゃんが口を開く。
「そう、どうしてこんない近くにいたのに、誰も見つけられなかったのか、だけど」