極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~

「いつか会いに行くって、言ったでしょ……。ま、探偵がうろついてるみたいだったから、そのうち、見つかるかもとは思って、いたけど」

 私に比べ、息がなかなか整わない羅良。

 彼女のエコバッグを拾って、近くの公園に移動した。

「健ちゃんが調べたの」

「健ちゃんか。仲が悪いと思っていたけど、意外にお兄ちゃん思いなんだね」

 羅良は長い前髪を掻き上げた。

 いや、健ちゃん的には裕ちゃんのために調査したんじゃないと思うけど……。

 まあいいや。そういうことにしておこう。

「駆け落ちって、本当?」

 おそるおそる聞くと、相手は意外とあっさり答えた。

「なんだ、そこまでばれてるの」

 本当だったんだ。

 ショックで口が動かなくなる。

「そうよ。私、裕ちゃんじゃない人と暮らしているの」

「どこで知り合った人?」

 そんなことを知りたいわけじゃないのに、なんとか動いた口は無意味な質問をしていた。

「大学。その頃から周りに内緒で付き合ってた」

「そんな。裕ちゃんとその人と、二股かけてたってこと!?」

 思わず声を荒らげると、羅良は私の方を見ず、星が浮かんだ空を見上げた。


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