極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
マンションの前に着くと、七時を回っていた。
今さら痛む足の裏。ひょこひょこと歩き、エレベーターへ。
ああ、疲れた……。
ロックを解除して家の中になだれこむように入る。
玄関先で座った私に、光が降り注いだ。
人を感知すると自動でつくライトのせいだろうと思って顔を上げて、固まった。
そこには、裕ちゃんが立っていた。
「おかえり」
声の低さが、いつもと違う。
不穏な雰囲気に、息を飲んだ。
「早かったんだね」
まだ帰ってきていないと思いこんでいた私は、狼狽していた。
「……そっちは遅かったな。どこで何をしていたんだ?」
裕ちゃんは立ち上がる私に手も貸さず、冷たく見下ろす。
咄嗟にうまい言い訳が見つからず、うつむいた。
「健太郎と会ってたのか」
「え……」
どうしていきなり健ちゃんの名前が出てくるのか。
質問するより前に、裕ちゃんが言葉を継いだ。
「最近、様子がおかしかったからな。頻繁に健太郎と連絡を取りあったり、お茶したりしているようじゃないか」
人を使って調べさせたんだ。
責めるような口調の裕ちゃんを、信じられない思いで見つめる。
体が、震えていた。