極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~

「いつもママに手助けされて生活してきた分際で、偉そうなことを。お前なんて、誰かに養ってもらわなきゃ生きていけないぞ。家出してもいいけど、すぐ帰ってきて恥かくのはお前だぞ?」

「ムキー!」

 子供のように地団駄を踏む。大人になって初めて地団駄踏んだわ。

「まあまあ。今日結論を出すのはやめにして、食事にしましょ。 その感じだと、何も食べていないんでしょ」

 母は広いリビングを横切り、カウンターキッチンへ。

「うん……」

 来づけば、お腹がぐううと鳴った。

「風呂も沸いてるぞ。先に入ってきたらどうだ」

「あん……」

「替えの下着やパジャマ、まだ羅良のが若干部屋に残ってたわよね? それ使いましょ」

「お、おおん……」

 父に背を押され、バスルームに連行された。

 すぐに母が現れ、着替えと絆創膏を脱衣所に置いていく。

「ゆっくりね」

 そう言って、ふたりは消えた。

 ああ、なんだかんだ言っても、私もふたりの子供なんだなあ。

 服を脱いでいると、ぼろぼろと涙が零れた。

 嬉しいのか悲しいのか、なんだかもうよくわからなかった。

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