極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
「羅良を含め、ご両親に説明する機会は近いうちに設けます。今夜はとりあえず、希樹を迎えにきました」
「え? え?」
どうして私を迎えに来る必要があるのかわからない。
「今後も契約結婚を続けるってこと?」
聞いた私を射抜くように真っ直ぐ見つめ、裕ちゃんは言う。
「言っただろう。俺が好きなのは……」
言葉の途中で、来客を知らせるブザーが鳴った。
裕ちゃんがチッと舌打ちをする。
「私が出るね」
重い空気から逃れるように部屋から出て、リビングにあるモニターで来訪者の姿を確認した私は、腰を抜かしそうになった。
『こんばんは。開けてくださる?』
そこに並んでいるのは、裕ちゃんのご両親だった。
後ろからついてきた裕ちゃんが画面をのぞきこみ、眉間に皺を寄せる。
「嫌な予感がするな」
「それしかしないよ」
画面の中のお義母さまたちは、暗くてよく見えないけど、決して楽しそうにしていない。
『離して! 離してっ!』
しかも、なぜか彼らの後ろから甲高い声が助けを求めて叫んでいる。
その声に聞き覚えがある私は、玄関まで走っていき、勢いよくドアを開けた。