極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
もはや、ここまでか。言い逃れはできない。
うちの両親は、がっくりとうなだれた。
「申し訳ありませんでした。私たちは結婚式前日に、羅良がいなくなっていることに気づきました。だから、とりあえず希樹に身代わりになってもらい、羅良を見つけて連れ戻すつもりでした」
真実を間違いのないよう、噛みしめるように話すのは、私の父だ。
「裕典はそれを知っていたの?」
「ええ。俺も身代わりに賛成しました」
はあああ、と深いため息をつく義両親。
「申し訳ないが、結婚の話はなかったことにしてもらいましょう。羅良さんを生まれた頃から見てきて、申し分ない娘さんだと思っていた。なのに、こんな裏切りを受けるとは」
「業務提携だって、打ち切りよ! こんなことを平気でする人たちを信用できるものですか。今後一切、あなたのところに仕事は回しませんからねっ」
交互に責められ、首が折れそうなほどうなだれる両親。
そりゃあ、勝手な理由で先に裏切ったのはこっちだよ。騙したのもこっち。星野家に落ち度はない。
「こんなアバズレ娘ふたりしかいなくて、お可哀想ですこと」
使用人二人が、羅良の体から手を放した。
羅良は人形のように、力なく玄関に倒れ込む。