極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~
長身イケメンセレブの裕ちゃんに、ひとつでも勝てる要素が彼にあるか?
人の好みはそれぞれだって言うけど、羅良ほどの女性なら、もっといい男性がいっぱいいるはずなのに。
「帰る前に、希樹にはちゃんと話しておくね。この前は誤魔化してごめん」
私が淹れたコーヒーを飲んで、羅良はふうと息を吐いた。
「私、ずっと女の子が好きだったの。女の子しか、愛せないのね」
「へ?」
母を見ると、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をしていた。きっと私も同じ顔をしているだろう。
「つまり、恋愛対象が女子ってこと?」
「女子限定」
こくりとうなずく羅良。母は後ろにのけぞりながら、キッチンカウンターをつかんで転倒を免れた。
「ずーっと悩んでたの。パパもママも、私を一生懸命育ててくれた。いつか、大企業の息子さんと結婚して、パパの仕事の役に立つためにそうしてくれているんだって、うすうす気づいてた」
「そんなこと……」
言いかけ、母は口をつぐんだ。
どこにお嫁に出しても恥ずかしくない女の子になりなさい。
昔の母は口癖のように、羅良に言っていた。